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2010年 01月 05日
「Odyssey of Iska 1984」 1.出発 それは一枚の葉書から始まった。 「ローマに居るのはもうすぐ終わりだから、遊びに来るなら今だよ」 それに対し私はこう答えた。 「ああ、じゃ行くよ」 ローマ大学に留学中の親友Hと奥さんからの葉書だった。 当時、私は建築の設計事務所に勤めていて、それなりに夢中で生きていたが、仕事の上でもプライベートでもエンドに達し、人生が煮詰まってしまったような思いに駆られていた。 これ以上続けても無駄だが、それをやめた先に何があるのか、何も見えなかった。 ただ自分をもう一度白紙に戻す必要があった。 仕事を辞めることにした。もっと正確に言えば、建築を辞めることにした。 旅に出ようと思った。その矢先に、この葉書が来た。 最初の目的地がローマということだけは決まった。 だが、それ以外は何も決まらなかった。決めたくもなかった。 ただ心の言うままに旅がしたかった。 1年間有効のフリーチケットの航空券を買った。だが、片方は使わないだろうと思った。 こうして、糸が切れた凧のような気持ちで、1984年2月の半ば、私はヨーロッパへ旅立った。 途中、飛行機はアンカレッジに立ち寄った。(当時、ソ連上空の飛行は禁止されていたので、ヨーロッパへの直行便は無かった) アンカレッジの空港は初めてだったが、ラウンジから見える外の景色はとても幻想的で、私はそれにすっかり魅せられた。夜なのか朝なのかさっぱりわからないのだが、空は深い紫色に染まり、遠くの山々は青白く輝き、樹々は真っ白で、それらがスペクタクルに眼前に広がっている。向こうとこちらを隔てる物はたった一枚の厚いガラスだけで、本当は向こうは零下何十度の世界なのに、こうして私達は身を守られ、安心して幻想的な風景を眺めることができる・・・それがとても不思議だった。 やがて給油が終わり、飛行機はアンカレッジを飛び立ちパリへ向かった。 かずま
by odysseyofiska4
| 2010-01-05 18:09
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