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2016年 07月 26日
「Odyssey of Iska 1984」 50.タンジェーマラケシュ 入国審査と両替を船内で済ませ、港に降りた。 と途端に、死体に群がるハイエナのように多くのモロッコ人が寄ってきて、英語やフランス語、時には日本語で「いいホテルあるよ」「いいレストランあるよ」「いい女いるよ」「お金換えるよ」と話しかけ、身体に触って来る。 「No thank you!」と言い、それを振り払いながら足はどんどん早くなって行く。 旧市街のメディナの入口まで来た時、最後まで付いてきたやせ細った若者に「レストランに行きたい」と言った。 別に腹は減ってないが、カサブランカ行きの列車が出るまでにはまだ時間がある。列車に乗ったら朝まで飯は食えない。だったら今のうちに腹ごしらえしておこう。 若者はいいレストランを知ってると言って、地元の人が行く所に連れて行った。 メニューはアラビア語でさっぱりわからない。 たぶん、これはスープで、これは前菜、これはメインディッシュだろうと見当をつけ、その一番上を3つ頼んだ。 わからない時は一番上を頼め!(自信がない物は一番上にはしない) 旅をしていく中で自然と備わった感覚だ。 ほとんど泥水のような感じの同じような皿が3つ出てくる。 しまった!と思ったが、しょうがない。それを腹の中にかき込んだ。 すると周りの人間がずーっと私の食べるのを見ている。彼らは何も食べない。 なぜなのかわからない。 食べ終わってお金を払い、残った小銭を若者にやった。 「いいホテルを知ってる」 「あと1時間くらいで列車が出るので駅に行く」 「列車はもう出た。駅に行っても無駄だ!」 「無駄でも俺は駅に行く。トーマス・クック(*時刻表のこと)は嘘はつかない」 そう言って彼を振り切り、駅に着いた。案の定、列車はまだ出ていない。 切符を買って、夜の構内で待った。 やがてみんなが乗り始めたので乗り、コンパートメントの指定された席に座った。 車内は人で一杯だ。すると隣の若者が英語で話しかけてくる。 彼はイスラエルの傭兵で、休暇で一時帰国し、カサブランカに戻る所だと言う。 列車が動き出した。車内は電気が消え真っ暗になった。 しばらくしてうとうとした。どうやら隣の奴はいい奴で危険は起きないようだから、明日に備えて寝ようとしたその瞬間、誰かが数人コンパートメントの中に飛び込んでくる。 緊張した。 それを察して、隣の若者が「仲間だ」と言った。 そして仲間達は暗闇の中でガチャガチャ音を立てながら床に何かを並べ始める。 どうやら食事の入ったアルマイトの容器を並べているらしく、それを囲みながらみんながワイワイ言いながら食べ始めた。 そして隣の若者もホラッ!という感じで私に食べ物の入った容器を渡し、食べろと言う。 やっと意味がわかった。 今はラマダン(断食月)なのだ。 だから決められた時間しか食べ物を採ることができない。 しかし、真っ暗な中で渡された物が何なのか、さっぱりわからない。 ここで眠り薬でも入った物を食べて、明日、身ぐるみ剥がされ見つかるのは嫌だなと思いながら、だが、こいつはいい奴だからそんなことはないだろうと、何度も逡巡した。 結局、食べろ!食べろ!と促されるので、毒味のような気分で少しだけ食べた。 さっき食べた奴とは違う味だが、別に変なことは起きない。 他のもポイポイ渡されるので食べた。 やっぱり何も起きない。 俺の直感は当たった。やっぱり、こいつはいい奴だ! だが、モロッコで出会ったいい奴は彼だけで、その後は1人も出会わなかった。 かずま
by odysseyofiska4
| 2016-07-26 14:04
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