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2015年 05月 04日
「Odyssey of Iska 1984」 46.セビリア(2) セビリアの大聖堂やアルカサル(王宮)はイスラムの影響を受けているので、どこかエキゾチックでおもしろい。 大聖堂は元はモスクだったのを教会に直したのでモスクにしかない中庭があり、幾何学的配置でオレンジの樹が植えられている。隣にあるヒラルダの塔は元はモスクのミナレット(尖塔)で、登ると教会の屋根が見え、昔は泡ぼこの屋根で覆われていたのが何となくわかる。 アルカサルはイスラムの宮殿を壊してつくったので折衷的で、壁面の幾何学模様や中庭など至る所にイスラムの匂いがする。室内は中庭からの光で明るく緑も見えて気持ちが良い。それらの部屋を見終わり、最後の部屋ヘ入った時のことだ。 壁に多くの白黒の肖像写真が掛かっている。最初は王様かと思ったが、そうではない。 よく見ると、それは歴代の有名な闘牛士で、ほとんどが闘牛で命を落としたことが解説を読むとわかる。 みんながあるモニターを熱心に見つめている。見るとそれは闘牛のシーンで、闘牛士が牛の角に引っ掛けられ、わら人形のように飛ばされるシーンばかりが映し出される。 つまり、彼らの死のシーンの映像集だ。 ゾーッとした。 そしてロルカのある詩を思い出した。 どこの国でも 死はひとつの終わり 死が来て幕はとざされる だがスペインではちがう スペインでは幕がひらかれるのだ 単に残酷だという以上に、スペイン人独特の感覚(いや、もしかしたら人間本来の野性の感覚)に触れたような気がした。 だからピカソはあんなに闘牛が好きなのだ。 熱い血で根源的な野生に触れようとしたのだ。 だが、日本人である私はこの映像を見て、しばらくは飯を食う気がしなかった。 スペイン広場は1929年の万博会場の建物だが、近代建築ではなく、イスラムの影響を受けたムデハル様式(アルカサルも同じ)でできている。こういう自分達への強いこだわりはいかにもスペインだ。 この建物の前に立った瞬間、どこかで見覚えのある感じがした。しばらく考え、それが「アラビアのロレンス」の最後のシーンで出てくる建物だとわかった。 確かに不思議な匂いのする珍しい建物だ。 グアダルキビール川のほとりを夕暮れ時に散歩しながら「黄金の塔」のスケッチをした。 この塔もイスラムがつくった当時は(今は無い)タイルに夕陽があたり、黄金色に輝いていたのだろう。 セビリアはスペイン第一の都市で、コロンブスもイタリアからやって来て、スペイン国王の援助で、この川から新大陸発見の旅に出た。その当時の繁栄が街のどこそこかに感じられる。 だが、私が一番好きなのは、マドリードでもバルセロナでもない、セビリアでしか感じられないアンダルシアの匂いだ。 白と茶色の建物が並び、青い空と川と緑と風が流れ、フラメンコと闘牛に酔いしれる、黒髪と黒い瞳の、エキゾチックな匂いだ。 心と身体がその匂いに自然に溶けて行くような、そんな気がした。 かずま
by odysseyofiska4
| 2015-05-04 15:03
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