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2015年 03月 26日
「Odyssey of Iska 1984」 44.バルセロナ(3) ピカソはスペイン南部のマラガで生まれた。そして9才の時にラ・コルーニャ、13才の時にバルセロナに一家は移住する。18才の時に初めてパリを訪れ、そこを拠点に芸術活動を始め、やがて世界のピカソとなる。 ピカソの美術館は世界中にたくさんあるが、バルセロナのピカソ美術館は初期の作品が多い。ピカソがピカソになる過程が観れるので、とても楽しみにしていた。 だが、実際行ってみると路地に面した分かりにくい場所にある。それは一家が住んでた建物をそのまま美術館にしているからだ。 ピカソは初めから天才だったとよく言われる。そしてそれは本当だ。幼少のデッサンを一目見ればわかるし、15才の時に描かれた「科学と慈愛」を見れば、古典的な意味での画家のすべてはこの時点で既に完成されていることがわかる。と同時に、顔や手が周囲から浮き立つように大きく描かれ、彼の神経がそこに集中し、ある意味末端肥大症であることがわかる。ミケランジェロと同じだ。後年、キュビズムを生み出す萌芽が既に感じられる。 ピカソはすぐに古典的絵画に見切りをつけ、新しい絵画の模索を始める。その当時の習作にはロートレックの影響が感じられる。平面的で大胆で、グラフィックな所が気に入ったのだろうか。そして青の時代、ピンクの時代を経てキュビズムへ突入する。 キュビズム時代のピカソとジョルジュ・ブラックの絵はどちらがどちらかわからない程似通っている。だが、やがて二人は袂を分かち、ピカソは変容を続けて動的な絵画を目指すが、ブラックはどんどん洗練されて静的な絵画に行き着く。どちらが良いというのではない。持ってる資質の違いだ。 そんなことを若きピカソの絵を観ながら思った。 ピカソと同じくらい好きな画家にミロがいる。ピカソは1881年生まれ、ミロは1893年生まれだから、丁度一回り若いことになる。 ミロはよくシュルレアリスムの画家として語られるが、それは一面的なものに過ぎず、とても全体像を語っているとは言えない。彼の絵は自由で生命感があり、いきいきしてて、いつも無心に遊んでいる。やはりミロは独立した唯一無二の存在だ。 ミロの美術館はモンジュイックの丘にあり、セルトが設計したのでコルビュジェ言語が満載の、カッチリしたロンシャンのような建物だ。自然光の採り入れ方が特徴的で、とてもおもしろいが、ミロの彫刻や絵画を観出したらいつの間にかそちらの方に夢中になり、建物はどうでもよくなった。 現代美術館にも行った。タピエスは最初はおもしろかったが、何となくどれも似てて、そのうち食傷気味になった。むしろ後期ピカソの影響を受けたラジカルなアントニオ・サウラの絵の方に惹かれた。 だが、バルセロナで一番驚いたミュージアムは、13世紀後半から使われてた王立造船所をそのまま用いた、海辺にある海洋博物館だ。それは昼間の暑い日差しを浴びながらランブラス通りをふらふら下り切った所で偶然見つけた。 大きな古い家型の建物が幾重にも並んでいる。何だろうと思ってフラッと入った。 すると中は美しい石積みのアーチが幾重にも並び、その中に、大きなガレー船や帆船がポツン、ポツンと並んでいる。そして所々にある中庭やトップライトから差し込む光で、えもいわれぬドラマチックな光景が繰り広げられている。 今まで教会やそうした建物で似たような光景は何度か見たが、ミュージアムで見たのは初めてだったのでびっくりした。しかも何の予備知識も無かったからなおさらだ。 建築の情報メディアは偏っていることを強く感じた。 たぶん、こうしたことはこれからも起きるだろう。 要は自分だけの宝物を一つ一つ自分自身で大切にしていくことだ。 バルセロナにはまだまだこうした宝物が埋まっているかもしれない。 だが、そろそろ南下しろ!という声がどこからか聞こえ、私は準備することにした・・・ かずま
by odysseyofiska4
| 2015-03-26 19:33
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