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2014年 11月 24日
「Odyssey of Iska 1984」 43.バルセロナ(2) バルセロナに再アタックしたのは、もちろん犯人探しが目的なのではなく、ガウディの実物を直接観て肌で何かを感じたいと思ったからだ。 また、大好きなピカソ、ミロ、そしてダリを生んだ街に直に触れて、彼らが生まれた秘密を知りたいと思ったからだ。 最初にガウディを観にグエル公園にいった。途中、寄り道をして遅くなったのでタクシーで行くことにした。 外の景色を見ていたら、突然、その景色がメラメラメラと変化した。 何なんだ!これは? タクシーの運転手に頼んでもう一度同じ場所を走ってもらった。そして理由がわかった。 工事用のメッシュのフェンスが2重に合わさった部分越しに(タクシーで動きながら)景色を見ていたので、モアレが生じ、幻惑を感じたのだ。 この些細な事件によって生じた幻惑は、現地に着いて公園内を歩いているうちにさらに増幅した。 見る物すべてが肥大化していて、ぶっとくて大きい。別の言い方をすれば、もののつかみ取り方が大きい。この感覚は明らかにバロックだ。だが、割れた陶磁器をそのまま貼り付けたカラフルな色彩のセラミックタイルや鉄の使い方は明らかにグラフィックで、近代や現代に通じる感覚だ。構造的にも一見恣意的でありながら実は合理的なものを強く感じる。 こいつはいろんなものが複合した、時空を超えたバケモノだな、と思った。 その思いはサグラダファミリアを観てさらに強くなった。 見かけはゴシック寺院のようだが、その尖塔の数や形は異常で、最初からクラシックなものを目指したのでないことは明白だ。尖塔のカーブもよく見るとカテナリー(放物線)を描いている。垂直荷重が上手に逃げてモーメントが発生しないことをガウディは直感的に知っていたのだ。 尖塔内の階段を上りながら屋根のない寺院の内壁を見渡す。十分に迫力があるし、おもしろい。 ふと屋根はない方が良いのではないかと思った。そしてこのままシジフォスの神話のように永遠につくり続け、完成しない方が良いのではないかと思った。その方がガウディの創造に永久に思いを馳せることができるし、大体、彼の死後彼の意図とは異なるディテールや装飾で完成させてもあまり意味がない。 世の中に未完の有名建築が一つくらいあってもいい、特にそれがスペインなら。 「君は建築家だろ?」と突然、若いアメリカ人に訊かれた。 「さあ? でもなぜ、そう思ったんだ?」と訊き返した。すると、 「君がカメラで撮る場所は他の観光客とは違うので、おもしろいので見てた。 実は俺も建築家だ」と言われた。 意識していなかったが、自然とディテールに目が行ってたのだろう。 カサ・バトリョは修復中でシートが掛かっていた。でも、その特徴的な頭の部分とバルコニーの一部が見え、それだけでも十分にガウディらしい夢の建築であることがわかった。 カサ・ミラは大通りのコーナーの一角を占め、2面がダイナミックにうねってガウディらしさが爆発していた。入りたかったが、入口部分に怖いお兄さんが終始監視していて入れなかった。カジノでもやってるような感じだった。 ガウディの建築はどれもが線が太い。そしてドリーミーだが、毒もある。セクシーで人間の深層心理にぐいぐい食い込んでくる。また、有機的でダイナミックだ。木やコンクリート、鉄、セラミックなど素材のコントラストや色のコントラストもすばらしい。 ガウディと同じくカタルーニャのモデルニスモを牽引したドメネクのカタルーニャ音楽堂も観たが、ガウディと比べると全然線が細くて装飾的でロココを観ているような感じだった。私は断然バロックのガウディだ。 たぶんバロック的な精神というのは時代を超えて現代のダイナミックな建築や造形芸術にまで影響を与えている。逆にそれを遡れるからこそ私達はバロックに親近感を抱くこともできる。ガウディはその両者にまたがっているから古くもあり新しくもあるのだ。 こういう建築家は珍しい。他に探すとなればオットー・ワグナーくらいだ。 バルセロナはおもしろい。猥雑でダイナミックで狂気に溢れている。 そうした中からガウディは必然的に生まれた。 かずま
by odysseyofiska4
| 2014-11-24 19:51
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