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2014年 06月 27日
「Odyssey of Iska 1984」 35.マドリード(2) 翌日から盗られて失くした物を店やデパートで見つけては一つ一つゲインしていった。 それと同時に、本屋で素敵な本や画集を見つけては買っていった。 (私は洋服や物には別段興味がないのでそれを欲しいとは思わないが、好きな本には躊躇なくお金を使う癖が昔からある) 日曜日の夕方、気づいたら、大使から借りた1万ペセタは使い切って財布にはほとんどお金が残っていなかった。 晩メシが食えない!! ホテルでは私がバルセロナで盗難に会ったことは有名で誰もが知っていたので、仲の良いアメリカ人夫妻に1000ペセタ貸してくれと頼んだが、 「Sorry! 私達は支払いはすべてカードなので現金は持っていない」 と言われた。すると、それを横で聞いてた小さな5才くらいの息子のモンロー君が、 「僕があげる!」と言って、ポケットからコイン200ペセタを差し出した。 夫妻も笑ってうなづいてるので、私はそれをもらって、スケッチブックにIOUを書いた。 そして彼に渡そうとした。 「それ、何?」 「僕がキミにお金を借りたという証明書だよ」 「いらない!ただであげるよ!! だってキミは旅をしてて、ボクラはきょうだいで、ボクはキミをあいしてるから!」 と言って、IOUの上から落書きを始めた。 それが終わると、裏に「I love you」のイタズラ描きを始めた。 私は笑って彼に丁重に礼を言い、200ペセタ(約300円)を持って、外に出た。 さすがに、この金で食える物は限られている。 私は嫌々ながらマックに行った。 実はバルセロナで水を飲もうと思って入ったマックがヨーロッパで初めてのマックだった。 そりゃそうだろ!! イタリアでもギリシャでもトルコでもフランスでも、ヨーロッパはどこでも安くて美味しいものがたくさんあるんだから、なんでマックになんか入る必要があるんだ?! プエルタ・デル・ソル広場にあるマックに入った。 メニューを見ると、ドリンクとバーガーとチップスのセットが250円くらいだ。 セーフ!! それを頼んで出てきた時、トレーを受け取るタイミングが少し遅れた。 すると店員の女の子は?という顔をして、ドリンクをジャーッとシンクに捨てた。 何すんだよ!と思った瞬間、ビールをジュワッとサーバーから注いでハイッと出した。 びっくりした。スペインではマックでビールが飲めるのだ! 喜んで、席に着いた。 正面を見て二度びっくりした。 5才くらいのガキンチョの男の子がビールを飲んでいる! ローマでガキンチョの女の子からタバコをくれ!と言われて以来の衝撃だ。 ヨーロッパは日本と違って大人社会でできている。 遊びや快楽も大人が中心で、だから子供は早くから大人になりたいと思い、実際、大人になるのが早い。(子供の頃から背伸びした子が多い) だが、日本は子供社会で、遊びや快楽も子供や若者が中心で、だから子供や若者はずっとそれを維持したいと思い、実際、モラトリアムを続ける人間が多い。 親や大人がそれを厳しく言わないので、平和でお気楽な、幼稚で成熟を拒む風潮が社会に蔓延している。 これを直すには小さい頃から世界旅行をさせ、自分の目で異なる社会を見て身体で考え行動し、痛い目に会いながら自らの答えを自分で出させるしかない。 私の場合もこの放浪は遅過ぎた。 大学に入る前か入った直後にやっていれば、その後の人生は大きく違っていただろう。 かわいかったら旅をさせなければならない。 獅子に育てたかったら崖から突き落とさなければならない。 それができない親や大人は失格だ。 翌月曜日、東京銀行で日本からの送金を受け取り、モンロー君に200ペセタと大きなリボンの付いたキャンディーを買ってあげた。 それから日本大使館に寄って、大使から借りた1万ペセタを返した。 その足で電話局へ行き、この旅の前に辞めた勤めていたK事務所に電話をかけた。 ゴッドマザー(秘書長)が出た。 事情を説明して、私が所員であるという文書のテレックスをこれこれまで送ってくれない?と話した。意外なくらいあっさりと「いいわよ」と返ってきた。 そして「高いわよ」と続けた。 思わず笑ってしまった。相変わらずのジャブだ。 パリの大韓航空にも電話した。電話口に出たスタッフは何度も「No problem!」を連発した。パスポートが再発行されたら、何はともあれ一旦パリに戻って仕切り直ししよう。 パリのB先輩と日本の友達、それからお袋とやさしい父親へ手紙を書いた。 こうして着実にゲインしながら、それと同時に私はマドリードの生活を十分楽しんだ。 かずま
by odysseyofiska4
| 2014-06-27 21:14
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