フォロー中のブログ
検索
以前の記事
2017年 05月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2015年 07月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2014年 11月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 05月 2013年 03月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 10月 2012年 06月 2011年 10月 2011年 06月 2011年 03月 2011年 02月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2014年 05月 18日
「Odyssey of Iska 1984」 30.アンティーブ & ヴァロリス ピカソの美術館は世界中にいくつもあるが、南仏の2つの美術館は実際、ピカソがそこに滞在し、生活しながら制作に没頭した所なので、格別の味わいがある。また、そこに行くことでピカソを追体験することができる。 アンティーブはニースとカンヌの間にある風光明媚な港町だ。 ローマ帝国時代から交通の要地で、昔は城塞で囲まれていた。(今でもその名残は海側に残っている) ピカソ美術館のあるグリマルディ城もその城塞の一つで、海に面している。 ピカソは第二次世界大戦中パリでドイツ軍に幽閉されたが、戦後解放されるとすぐに南仏にやってくる。そして精力的に再び画を描き始める。愛人のフランソワーズ・ジローを伴ったそこでの生活はピカソの人生で一番幸福な時代だったかもしれない。その気持ちが画によく表れていて、私はこの時代の画が(それ以前の「ドラ・マールの時代」と同じくらい)好きだ。 特に「生きる喜び」は好きだ。 海をバックに1人の女と4人の牧神達がつくりだすコンポジションはとても素敵だ。 真ん中で踊る女はフランソワーズ・ジローで、左で笛を吹く牧神はたぶんピカソだろう。 おおらかで幸福な気持ちが自然と伝わって来る。 10年程前に描かれた「ゲルニカ」と比べるとエライ違いだ。(もちろん「ゲルニカ」は「ゲルニカ」でとても素敵だが・・・) その他の画も幸福な気分が伝わって来る。 やはり、地中海は偉大だ!! 人の心を明るく変えてしまう。 屋上のテラスで海を見ながらそう思った。 美術館の隣は大きな教会だった。中を覗くと丁度ミサをやっていた。 ピカソやフランソワーズ・ジローもミサに出たのかしらんと思いながら、しばらくそれを見ていた。 次の日は昼頃カンヌに行ってランチした。 映画祭がもうすぐ始まるらしかったが、私の目的はそれではなく、ヴァロリスのピカソ美術館に行くことだったので、それほど街は真剣に見なかった。 山道を30分くらいバスに乗ってヴァロリスに着いた。 ヴァロリスは陶芸で有名な街で、ピカソの晩年の陶芸熱はここから始まる。 また、フランソワーズ・ジローの次の愛人であり妻になるジャクリーヌ・ロックに出会うのもヴァロリスだ。 ピカソ美術館は街のほぼ中心にある城にあった。 行ったら、なんとその日は休日だった! ちょっとショックだったが、なかなか風情のある城だったので、中庭に佇みスケッチをした。とてもいい風が吹いていた。 その後、ヴァロリスの街を歩いた。 小さな街で、観光客向けの土産物屋がいくつかあるが、それほど毒された感じはしない。山間の避暑地として品がある。 ピカソもそんな風情が気に入ったのだろう、この街で7年間を過ごし「戦争と平和」という壁画まで街に残している。 その後、ピカソはすぐそばのムージャンに移り、「ノートル・ダム・ド・ヴィ 」という城で最晩年を過ごす。傍らにはジャクリーヌがずっといた。 デビッド・ダグラス・ダンカンの「グッバイ・ピカソ」という写真集にはこの頃の幸福な姿が捉えられている。 嵐のような時代を生きたピカソも最後は静かな港に着き、やがて船を降りた。 かずま
by odysseyofiska4
| 2014-05-18 15:00
|
ファン申請 |
||