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2013年 08月 03日
「Odyssey of Iska 1984」 24.パリ(4) パリは一見古い街並に見えるが、実はそれほど古くはない。 オスマンが1853年に知事になり、パリ市街の大改造をおこなった。 路地裏を取り壊し、東西南北に大通りを通し、ランドマークとなる建物どうしを道路で結んで都市の視覚化を計り、上下水道など目に見えないインフラを整備した。そしてルーブル宮の改装やオペラ座の建設などをおこなった。 つまり、それは160年前に始まったことで、江戸末期から明治初期にかけて大きく変わったのだ。 パリが新しい街だと感じるのは、ローマと比べて1階の立端がそれ程ではなく、合理的な造りで、屋根の高さや形状が揃ってファサードが全体的に整った印象を与えるからだ。 道路も広く、そして(何度も言うようだが)白い!! だんだんパリ生活にも慣れて来たので、そろそろ観光見物でもしてみようかと思った。 エッフェル塔に行った。 東京タワーと違って真下は道路が走っていて他には何も無く、軽やかで美しい。 これができた当時(1889年)は野暮で武骨で醜悪だと酷評されたが、実物を見るとレース模様のようなものがたくさん付いてて、とても装飾的だ。 時代が変わるとこんなにも美意識は変わるものなのか! 4つの足元から斜めに上るエレベータが新鮮でおもしろい。 展望台に上って驚いたのは、吹きさらしで直接風を感じられることだ。 手摺も簡単な物で、現に隣のカップルは落ちるポーズをとりながらふざけ合っている。 実際、自殺者も多いらしい。だが、それでも簡単な柵と網しかなく、日本とは大違いだ。 この辺が、自己責任の国と、他人へ責任を転嫁する国との違いだろう。 責任は自分で取らなければならないが、その分自由で気持ちがいい街だ、パリは。 よく言えば個人主義が徹底していて、変にベタベタした所がない。 それがエトランジェ(異邦人)である私には心地良い。 ルーブルに行った。 無料で入れる日があると聞いたが、行った日は有料だった。 入口がわかりにくく、手間取った。おまけに昔の宮殿をそのまま利用しているので館内はとてもリニアでわかりにくく、北と南にウィングが分かれているので、観たい物をさっと観るのは不可能だった(だからガラスのピラミッドを真ん中に造って、地下で交通整理して不便さを解消しようとしているのだが・・・) ジョコンダ(モナ・リザ)の前は黒山の人だかりで、ただでさえ人混みの嫌いな私は近づいて観ようという気が起こらない。むしろ、それをかき分けて観ようとする人を見ている方がおもしろい。(とは言っても、さすがに観ないで帰るのは癪なので、)最後は意を決して観た。だが、ガラスの向こうにある絵のディテールをしげしげ視る気にはならなかった。単に見た、というだけで、特別な感慨は起こらなかった。 ミロのヴィーナスのある場所はあまり良い場所ではなかった。光がもう少し美しく当っていれば、俄然印象は違って見えただろう。 その点、サモトラケのニケは大空間の階段の踊場にあり、美しい光の中、視線を一身に集めて抜群だった。置かれた場所でこんなにも印象が変わるのかと思った。 ルーベンスの巨大な絵が大きな壁面にたくさん並べられた部屋があった。これらは王侯貴族の宮殿を飾るために描かれた絵なのだろうが、ただデカイだけで、私は少しも感動しなかった。 絵は大きさではない。やはり中味だ。内容とそれに見合った技術や独自のタッチがあれば小さな絵でも感動する。ルーベンスはバロック最大の画家ではなく、一番大きな絵を描いた画家に過ぎない。レンブラントやベラスケスと同列とはとても思えない。 と悪態をついていたら、そこにドヤドヤ日本人の団体が入って来た。 皆、ガイドの言うままに頷き、感心し、お行儀よく次の部屋に移動して行く。 アメリカ人の団体が入って来た。 皆、点々バラバラで、自分の好き勝手な所を見ては隣の人と話をしながら次の部屋に移動して行く。(マイクランジェロ、マイクランジェロと言っていたが、ミケランジェロの話をしていたのだろう) ドイツ人の団体はまるで学校の授業のように皆真剣で、メモを取る人さえいる。 一番デタラメでちゃらんぽらんだったのはイタリア人とスペイン人の団体だ。 お国柄はこういう所にも出る。 ルーブルで気に入ったのは、館内で実物を模写している素人の画家が何人もいたことだ。 さすが芸術の国は違う!! こういう気風は何かを育てる。 私もパリにいる間は芸術家でいよう!! 翌日、モネの「睡蓮」を観に、ルーブルの西にあるオランジュリーに行った。 ここは元々テュイルリー宮殿のオレンジの温室(オランジュリー)だったが、モネの「睡蓮」の連作を展示するために美術館に改装された。 楕円形の壁一面に「睡蓮」が並んでいる。 絵は具象なのに、一つの画題に絞ってそれだけで埋め尽くされた空間から受ける印象は抽象だ。そしてとても快い。いつまでもいたくなる空間だ。 私はそこに30分程ボーッとしながら佇んでいた。そして本当に眠くなった。 芸術はあまりに快くなると眠くなる。 かずま
by odysseyofiska4
| 2013-08-03 23:04
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