フォロー中のブログ
検索
以前の記事
2017年 05月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2015年 07月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2014年 11月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 05月 2013年 03月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 10月 2012年 06月 2011年 10月 2011年 06月 2011年 03月 2011年 02月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2011年 06月 10日
「Odyssey of Iska 1984」 10.カプリ ナポリにいる間にカプリに行こうと思った。 カプリはナポリ湾に浮かぶ島で、高速艇でナポリから45分程で着く。一般的には「青の洞窟」で有名だが、建築的にはアダルベルト・リベラが設計したマラパルテ邸(実際は彼の設計案ではなく、マラパルテと地元の石工の手でほとんど造られたらしい)があることで有名だ。 だが、私にはその2つはどうでもよかった。一番興味があったのは、なぜあのような奇岩の島に人々が住み着き、高級リゾート地にまでなったのか、それが知りたかった。 だからだろう、島に向かう日も(すっかりナポリ人になり切って)朝からゆっくりし、到着したのは昼近くだった。当然「青の洞窟」は見れない。 だが、そんなことはどうでもよかった。港の景色の良いレストランでランチをし、ワインを1本空けたらとても幸福な気分になった。本当にナポリ人だ。 いろは坂のような坂道を30分近く上って島の中央にやっと出る。 よくもまあこんな不便な所に別荘をたくさん造ったもんだ。確かに眺めはいいが、資材を運ぶのも、組立てるのも、食料や水を運ぶのも、排水も・・・考えれば考える程、無理難題が多い。それをアウグストゥスの時代からやってたなんて。 街を小1時間散策する。そしていろんなものを見る。 結局、人間は合理的な動物ではなく、不合理だからこそ逆に猛然とそこに住みたくなる、つむじ曲がりで不思議な生き物なのだという結論に至る。 そしてその気持ちは何となくわかる。 山はとんがってるから登るんであって、平らであればわざわざそこに行こうとは思わない。 海は深いから潜るんであって、すぐに底が見えるようならチャレンジしようとは思わない。 人が住み始める最初の地点はどこもとても特徴的だ。 パリがセーヌ川に囲まれたシテ島から始まったのは誰でも納得できるだろう。 それと同じで、カプリも人を引きつけて離さない何かがあって、だから苦労してでも住みたいという気を人々に起こさせ、実際住み着かせたのだ。 理屈ではない。すべては不条理だが、極めて人間的な感情なのだ。 マラパルテ邸は(本当はどうでもよかったのだが)他にやることもないので、行くことにした。 地図で目星を付け、大体この辺だろうと海沿いの山道を歩いたが、なかなかそれらしい建物が見えて来ない。もういい加減やめようと思った時に、あの赤い特徴的な形が一瞬目に入った。しめた!と思い、そちらの方へ降りて行った。途中から明らかに私道に入り、警告文らしき物がイタリア語で書かれているのだが、扉は・・・なんと開いた! 敷地内に入り、建物前まで行くと既に何人かの観光客が記念撮影をしている。たぶん、建築関係者か映画愛好家だろう。中にはゴダールの「軽蔑」でのBBのポーズを真似て屋上で記念撮影しているカップルもいる。私も写真を撮っていると、そのカップルに写真を撮ってくれと言われ、カメラを渡される。撮ってやると、お前も撮ってやると言って、私のカメラをもぎ取る。 こうしてあの大階段に坐った(私にしては珍しい)ポートレートを撮ってもらった。 その夜はナポリですることがあったので、早めにカプリを後にした。 高速艇から見る夕日の中で輝くカプリは確かに人を惹き付けてやまない何かがあった。 かずま
by odysseyofiska4
| 2011-06-10 23:51
|
ファン申請 |
||